「かんばん」というソフトウェア開発方法論が誕生するまでの物語

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Kanban - Successful Evolutionary Change for Your Technology Business

かんばん(Kanban)という方法論が誕生するまでの経緯が、『Kanban – Successful Evolutonary Change for Your Technology Business』(以下、かんばん本)に書かれていたので、ななめ読みですがご紹介です。

Kanbanとkanban

かんばん本において、著者であるDavid J. Anderson氏は、大文字ではじまる「Kanban」と、小文字で始まる「kanban」を使い分けています。

  • Kanbanは方法論としてのかんばん
  • kanbanはツールとしてのかんばん

Kanbanでは、kanbanを使って、プル型システムであるkanbanシステムを実現します(ややこしいですね)。詳細については、英語版Wikipediaの「Kanban(development)」日本語に訳したので、そちらも参照ください。

顧客からのプレッシャーとの戦い

Kanban本の1章「Solving an Agile Manager’s Dilemma」に、かんばんが誕生するまでの物語が書かれています。私が読んだ印象だと、David氏は、アジャイルマニフェストの12原則にある

アジャイル・プロセスは持続可能な開発を促進します。
(Agile processes promote sustainable development. )

にとても強く影響を受けたようです。「大規模な開発は短距離走というより、マラソン」という一文からも、持続可能な開発を重要視しているのが伝わります。

さらに、David氏が過去に担当したプロジェクトでも、厳しいスケジュールなど、開発を圧迫するプレッシャーがあり、それに抵抗していたため上司からはネガティブに受け止められていたみたいです。なんだかどこかで聞いたことがあるような話ですね。

こういった経験があり、David氏は顧客も開発も幸せになる方法を模索するようになります。

アジャイルマネジメントへの挑戦

David氏は、アジャイル開発を大規模プロジェクトに適用しようと試行錯誤します。しかし、なかなか周囲の理解が得られません。そして、こういったプロセスを周りに強制しても失敗することを学びます。

失敗の原因でもっとも大きいのは、それぞれのプロジェクトは、それぞれ異なる状況であることです。しかし、どれだけ状況が異なるとはいえ、どのプロジェクトでも制約となる要因や、ボトルネックを抱えています。この共通点をきっかけに、David氏は考えを進めていきます。

David氏はTOC(制約条件の理論)を参考にします。その中でも、「Drum-Buffer-Rope(DBR)」という方法に注目しました。DBRとは以下のような手法です。

ボトルネックとなる工程に注目し、生産スケジュールを最適化するための手法。進む速度の違う人を縦一列に並べて進行する様子を喩えにした考え方。 – Goo辞書より

DBRはプル型システムの1つです。そして、David氏はプル型システムが、インクリメンタルなプロセスの変化を促し、変化の抵抗を減らし、持続可能な開発へと導いてくれるのではないかと考えるようになります。

DBRからKanbanへ

Productivity: Wrapping up the First Stage of a Special Project

DBRを採用したプロジェクトでは、とても大きな効果がでました。数字だけ見ると、生産性が3倍。リードタイムが90%削減。予測の実現率が98%と、とんでもない数字です。彼はやがてDBRからkanbanシステムを経て、ソフトウェア開発方法論である「かんばん」を実装していきます。

そして、DBRよりもKanbanという言葉をDavid氏は好むようになりました。なぜなら、

  • Kanbanはリーン生産方式で使われていて、TOCよりも広く採用され、受け入れられている
  • Kanbanのほうが言葉としてわかりやすく、言いやすく、説明しやすく、教えやすく、実装しやすい

からです。海外では、TOCよりリーンのほうが有名なんですかね。かんばん本には、David氏の経験がいくつか書かれており、現場で試行錯誤した結果、たどりついた方法論である印象を受けます。

まとめ

以上が『Kanban – Successful Evolutonary Change for Your Technology Business』をななめ読みしながらまとめた内容です。

David氏は、かんばんを考えだした当初からスケールを意識していたようで、大規模プロジェクトへのアジャイル開発の適用についての試行錯誤が、かんばん本にはいくつか書かれています。

また、「持続可能な開発によって、開発チームメンバーがより豊かな時間を過ごせるように」というDavid氏の気持ちも伝わってくる本です。

かんばんはとてもはじめやすいのですが、日本では詳しい情報が少ないため、今後も読み進めていこうと思います。

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